【就業規則コラム vol.13】就業規則は“10人以上の会社だけ”という誤解

~その誤解、そろそろ手放してもいいかもしれません~

「うちは従業員が10人いないから、就業規則はいらないですよね?」
創業期の相談で、よくいただくご質問です。

結論からいえば、“届け出の義務”は10人以上ですが、“就業規則そのものの必要性”は人数とは関係ありません

今日はこの“2つの違い”を整理します。

① 10人以上で必要なのは「労基署への届出」だけ

労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する事業場は就業規則の届け出義務があると定めています。

つまり、10人未満の会社には「提出しなくてもいい」というだけで、就業規則を作らなくていい、とは一言も書かれていません

ここが大きな誤解ポイントです。

② 人数に関わらず“ルールは必要”という実務上のリアル

実務では、従業員が3〜5名の段階から、すでに「言った・言わない」問題や、トラブルの芽が生まれます。

たとえば…

  • 有給休暇のルールが社長と社員で認識が違う
  • 時間外手当の取り扱いが曖昧
  • 副業、SNS発信、兼務など新しい働き方への線引きがない
  • 店舗責任者(リーダー)だけ暗黙のルールが存在してしまう

人数が少ないほど、1つの誤解や不一致が組織に直撃します。

だからこそ、“届け出義務はないけれど、就業規則は必要”という場面が圧倒的に多いというのが現場の実感です。

③ “ルールがない会社”ほど、創業期のリスクが高くなる

創業期は、社長と社員の距離感が近く、柔軟に対応できる時期でもあります。

ですがそれは裏を返すと……

・ルールが曖昧でも何となく回ってしまう
・気づいたら、暗黙ルールが積み重なる
・後から修正すると反発が起きやすい

という状態になりがち。

本来、「小さい会社だからこそ」最初にシンプルで明確なルールを決めておいた方が負担が少ないのです。

④ 就業規則は“社員10人超え”の準備期間にもなる

従業員数がこれから増えていく会社は、特に就業規則を早めに作っておくメリットが大きいです。

なぜなら、

  • 採用時の説明が一気にラクになる
  • 社長の判断基準がブレなくなる
  • 新しい社員にとって「安心材料」になる
  • 実態に合った規則があると、後からの変更が最小限で済む

10人を超える頃に“慌てて作る”より、ずっと現実的です

⑤ まとめ

「10人以上だから必要」ではなく、「会社を守るために必要」なのが就業規則

届け出義務は“法律上の話”
でも、トラブル防止や組織づくりは“会社の実務の話”

この2つは別物です。

従業員数に関係なく、「会社としてどう働いてほしいのか」を形にしたものが就業規則

10人未満の会社でも、いや、むしろ10人未満の会社だからこそ、整えておく価値があります。

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