働きやすさだけじゃない!オフィス環境が労務リスクに直結する理由

会社の物理的な環境や日常の小さな習慣は、実は労務リスクに大きな影響を与えています。

今回は「オフィス環境」が思わぬ形で会社や社員に影響するケースを掘り下げてみます。

🔷空間やレイアウトで変わる社員のストレス

オフィスのレイアウトひとつで、社員の心理的・身体的ストレスは大きく変わります。

たとえば、デスクが狭く隣との距離が近いオープンスペースでは、社員同士の小さな衝突が増えやすく、長期的には人間関係トラブルや離職率の増加につながることがあります。


心理的ストレスと労務トラブル

ある調査では、オフィスのプライバシーが十分でない社員は、仕事の集中度が約20%低下し、コミュニケーションミスが増えるという結果が出ています。

こうしたストレスはメンタル不調のリスクにも直結します。

メンタルヘルス関連で労務問題が発生すると、会社としても休職対応やハラスメント調査の負担が増えます。

安全衛生の観点

通路や共有スペースに物が多く、歩行や移動の妨げになっていると、転倒や衝突による怪我のリスクが高まります。

労働安全衛生法では、作業場の安全確保は会社の義務です。

配置の見直しや通路の確保は、単なる“見た目”の問題ではなく、法的なリスク管理でもあります。

🔷働き方に影響するオフィスの設備

テレワークの普及やハイブリッド勤務の増加により、オフィス設備が社員の働きやすさだけでなく法的リスクや健康リスクに直結する場面が増えています。

オンライン会議の音漏れ

顧客情報や個人情報が会議中に聞こえる環境では、情報漏洩リスクが生じます。

個人情報保護法や契約上の守秘義務違反につながることもあり、企業は物理的環境でリスクを管理する必要があります。

机・椅子の高さやモニター位置

長時間のデスクワークによる肩こりや腰痛は、場合によっては労災認定の対象になることがあります。

椅子や机を調整可能にし、休憩時間やストレッチを促すことは、社員の健康維持だけでなく、会社が負う労務リスクを減らす行動でもあります。

換気・空調

感染症対策の観点からも、空気の循環や温度湿度の管理は重要です。

厚生労働省のガイドラインでも、オフィスの換気や湿度管理が推奨されています。

換気不足による体調不良や感染症拡大は、結果として欠勤や休業の増加に直結し、業務上のリスクに影響します。

🔷小さな配慮がトラブル回避につながる

事例をご紹介します。

集中できない社員と人間関係トラブル

新入社員が周囲の声や動きで集中できず、上司と小さな口論が頻発。

デスク配置の見直しとパーテーション設置により、集中力が向上し、トラブルも減少。

腰痛による欠勤・医療費増加

長時間座りっぱなしの業務が多く、腰痛が慢性化していた社員がいました。

椅子を調整可能に変更し、1時間ごとのストレッチ休憩ルールを導入。

結果として欠勤日数が減少し、医療費補助のコストも抑制できました。

これらの改善は「小さな配慮」に見えますが、社員の満足度向上・離職予防・労務トラブル防止に大きな効果をもたらします。

🔷まとめ

オフィス環境は、社員の働きやすさや快適さだけでなく、会社の労務リスクにも直結しています。

見落とされがちな「空間の狭さ」「設備の不備」「換気や温度管理の不十分さ」といった小さな要素が、ストレス増加や健康トラブル、労務問題につながることがあります。

一方で、デスク配置の見直し、パーテーションや椅子の調整、休憩ルールの導入といった比較的小さな配慮でも、社員の集中力向上、メンタル不調の予防、欠勤や離職の減少といった効果が得られます。

これらは、単なる“快適なオフィスづくり”にとどまらず、会社全体のリスク管理としても非常に重要です。

社労士の視点では、法律や制度の整備だけでなく、こうした日常の環境改善や社員への配慮も労務管理の一環です。

社員の健康や安全を守り、会社としてのリスクを未然に防ぐためには、オフィス環境にも目を向けることが欠かせません。

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