【就業規則コラム vol.24】就業規則と雇用契約書、混同していませんか?

― どこまで規則に書き、どこを個別契約で決めるべきか ―
「雇用契約書はちゃんと作っています。」
そう言われることは多いです。
たしかに、契約書は大切です。
ですが、それだけで足りるかというと、実はそうでもありません。
就業規則と雇用契約書。
どちらも“労働条件を決める書類”ですが、役割は同じではありません。
ここが曖昧なまま人数が増えていくと、後から調整が難しくなります。
今回は、その違いを整理してみます。
① 就業規則に書くもの
就業規則には、会社としての「共通ルール」を書きます。
たとえば、
・労働時間や休日
・休職制度
・服務規律
・懲戒の種類や手続き
・賃金の決定方法
ポイントは、特定の誰かではなく、“全員に適用する内容かどうか”です。
評価制度をどう設計するのか。
欠勤が続いた場合どう扱うのか。
問題行動があったとき、どう対応するのか。
会社としての基準を示すのが就業規則です。
② 雇用契約書に書くもの
一方、雇用契約書は「その人との約束」です。
・基本給の額
・勤務地
・職種
・契約期間
・試用期間の有無
同じ会社でも、給与額や担当業務は人によって違います。
その“個別性”を書くのが雇用契約書です。
③ 迷いやすいポイント
実務でよくあるのは、次のようなケースです。
▷ 契約書に細かく書きすぎる
制度の内容まで毎回契約書に落とし込んでしまうと、制度変更のたびに全員分の修正が必要になります。
それは、現実的ではありません。
▷ 規則がなく、契約書だけで運用している
創業間もない会社では珍しくありません。
ただ、人数が増えてくると
・人によって説明が違う
・前に採用した人との条件差が説明できない
・懲戒の根拠が弱い
といった問題が出てきます。
契約書はあくまで個別合意です。
会社全体の基準にはなりません。
④ どう分けるか
迷ったときは、次のように整理してみてください。
それは、
「これから入る人にも同じように適用したい内容か」
それとも、
「この人との間だけで決める具体的な条件か」
前者であれば、就業規則。
後者であれば、雇用契約書。
この視点があるだけで、書き分けはかなり明確になります。
⑤ 規則と契約の整合性
もうひとつ大事なのは、内容が矛盾していないかどうかです。
就業規則では「賞与は業績に応じて支給」としているのに、契約書では「年2回必ず支給」と書いている。
こうしたズレは、後々トラブルになります。
書類は揃っていても、中身がかみ合っていなければ意味がありません。
🔷まとめ
就業規則は“会社としての基準”。
雇用契約書は“その人との具体的条件”。
役割を分けて考えることで、ずっと扱いやすくなります。
作って終わりではなく、実際に運用できる形になっているか。
もし少しでも引っかかりがあるなら、一度整理してみるタイミングかもしれません。
横山社会保険労務士事務所では、書類を整えるだけでなく、「どう使うか」まで一緒に考えています。
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