「従業員と友達みたいに接していいの?」創業間もない社長の距離感の悩み

―フレンドリーさと公平性のバランスについて―
創業1~3年目の社長は、従業員との距離感に悩むことが少なくありません。
人数が少ない会社では、社長と従業員が毎日顔を合わせ、同じ仕事やランチ、会議の場でやり取りをすることも多く、自然とフレンドリーな関係になりがちです。
でも、注意が必要です。
フレンドリーさは信頼関係を築く大切な要素ですが、近づきすぎると公平性が揺らぎ、組織全体に不安や不信感を生むことがあります。
今回は、創業間もない社長が陥りやすい距離感の悩みと、フレンドリーさと公平性を両立させるポイントを、具体例を交えて解説します。
1.フレンドリーさは信頼関係をつくる第一歩
創業期は、社長と従業員の距離が近いほど、会社の課題を早く共有できるメリットがあります。
例えば、業務フローに小さな非効率があっても、従業員が気軽に「ここ改善できませんか?」と相談できる環境があれば、問題が大きくなる前に改善できます。
また、創業間もない会社では、仕事に不安を抱える従業員も多いものです。
「社長に話しかけやすい」という安心感があると、離職リスクも下がります。
私の顧問先でも、ある創業2年目の社長は、従業員と週に一度の雑談タイムを設けたことで、離職の兆候や小さな不満を早期に把握できるようになりました。
このようにフレンドリーさは、信頼関係を築き、会社の健全な成長に直結するのです。
2.友達感覚の落とし穴
しかし、あまりに“友達感覚”が強くなると、見えないリスクも出てきます。
- 特定の従業員とだけ親しくなる
→ 他の従業員が「自分は優遇されていない」と感じ、モチベーション低下や不信感につながります。 - 私生活に過度に踏み込む
→ 例えば飲み会や休日の予定に頻繁に誘うと、断りづらくストレスになることがあります。 - 軽いノリや冗談が行き過ぎる
→ 社長としては冗談のつもりでも、従業員によっては不快に感じたり、パワハラやセクハラと受け取られることがあります。
創業期は人数が少ないため、特定の従業員との距離感が目立ちやすく、こうした小さな行動が組織全体の雰囲気に大きく影響します。
「親しい関係=平等」という錯覚に陥らないよう注意が必要です。
3.公平性を保つための工夫
フレンドリーさと公平性を両立させるためには、社長自身の意識だけでなく、制度やルールの整備が重要です。
- 評価・給与の基準を明確に
創業期はまだ仕組みが未整備になりやすいですが、基準を明示することで「社長の気まぐれで決まっている」という誤解を防げます。 - 声かけや雑談は全員にバランスよく
話しやすい人だけに声をかけると、他の社員が疎外感を抱きます。意識的に全員に話しかけ、情報や相談の機会を均等にすることが大切です。 - 仕事とプライベートを線引きする
職場では「社長と従業員」という関係を優先し、私生活に踏み込みすぎないこと。
こうすることで、従業員は安心して業務に集中でき、社長も振り回されずに済みます。
4.親しみやすさと公平性の両立
創業期の社長に必要なのは、単に「友達のように近づく」ことではなく、「親しみやすく、公平な社長」でいることです。
- 親しみやすさ → 従業員が気軽に相談できる
- 公平性 → 組織全体の信頼と納得感を守る
どちらかが欠けると、入社間もない従業員が優遇される印象になったり、信頼関係が崩れたりします。
創業1~3年目は、会社の文化がまだ形作られる時期です。
このバランスを意識して距離感を調整することが、組織の健全な土台作りにつながります。
🔷まとめ
従業員とフレンドリーに接することは、創業期の社長にとって大きな武器です。
信頼関係を築きやすく、相談や意見も引き出しやすくなるため、会社の成長スピードを高める効果があります。
しかし、近づきすぎると公平性が損なわれ、組織全体に不安や不信感が広がる危険があります。
「社長と友達」という関係性だけに頼るのではなく、親しみやすさと公平性の両輪を意識することが重要です。
具体的には、
- 評価や給与などの判断基準を明確に示す
- 雑談や声かけを全員にバランスよく行う
- 私生活との線引きを意識する
こうした行動や仕組みを取り入れることで、従業員に安心感を与えながら、社長自身も振り回されずに組織を運営できます。
創業1~3年目は、会社の文化や社風を形作る大切な時期です。
今この段階で、「親しみやすさ」と「公平性」のバランスを意識した距離感」を社長自身の行動と会社の制度で支えることが、将来の健全な組織の土台になります。
小さな気遣いや制度の整備の積み重ねが、従業員の信頼を築き、離職を防ぎ、会社の成長力を底上げする――これこそが創業期の社長にとって最も大切な距離感の作り方です。
🔷社労士としてのひとこと
創業1~3年目の社長は、会社の文化がまだ安定していない時期です。
フレンドリーさを発揮する際は、評価制度や就業規則などの“仕組み”を活用することがポイント。
制度の裏付けがあれば、従業員に安心感を与えつつ、社長自身も気持ちよく接することができます。
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