1人雇った瞬間に発生する“安全衛生の最低ライン”を創業者向けに超シンプル解説

「安全衛生って、正直よくわからないです…」

創業者の方と話していると、かなりの確率でこう言われます。

実際、安衛は労働時間や給与よりも、さらに見えにくい分野です。

でも――
従業員を1人雇った瞬間から、業種に関係なく“すでに始まっている義務”でもあります。

今回は、「完璧」を目指す話ではなく、最低限、ここだけは外せない安全衛生のラインを整理します。

🔶安全衛生は「事故防止」だけの話ではない

まず前提として。

安全衛生というと、

  • ヘルメット
  • 危険作業
  • 工場や建設現場

をイメージしがちですが、法律が守ろうとしているのは、もっと広いものです。

  • 長時間労働による体調悪化
  • メンタル不調の放置
  • 無理な働かせ方による慢性的な不調

「目に見える事故が起きる前の段階」も、しっかり対象になります。

🔶最低ライン①:健康診断は「やるだけ」では足りない

従業員を雇った場合、原則として

  • 雇入時の健康診断
  • 年1回の定期健康診断

が必要になります。

ここで創業者がつまずきやすいのが、「受けさせれば終わり」と思ってしまうことです。

実際には、

  • 受診したかどうか
  • 結果に異常所見がないか
  • 配慮が必要と書かれていないか

事業主が把握しておく必要があります。

「内容までは見ていません」
「本人が大丈夫と言っていたので」

この状態は、あとから問題になりやすいです。

特に、体調悪化 → 休職 → 労災や安全配慮義務の話、に発展したとき、健康診断をどう扱っていたかは必ず確認されます。

🔶最低ライン②:労働時間・休憩・休日は「安衛の土台」

安全衛生というと意外かもしれませんが、労働時間の決め方そのものが安衛対策です。

  • 何時から何時まで働くのか
  • 休憩はいつ取るのか
  • 休日はどうなっているのか

これが曖昧なままだと、

  • 残業が常態化する
  • 休憩を取りづらい雰囲気になる
  • 疲労が蓄積しても気づけない

という状態が起きやすくなります。

創業期によくあるのが、

「忙しいときは何時まででもやっていい」
「手が空いたら休憩して」

という“善意ベースの運用”です。

悪気はありません。

でも、ルールがない状態は、従業員にとっては無限に頑張れてしまう環境になります。

結果として、「体調を崩してから初めて問題に気づく」というケースが少なくありません。

🔶最低ライン③:小さな「危ない」を放置しないという姿勢

安全衛生で一番大切なのは、実は仕組みよりも“姿勢”です。

  • 配線が危ないままになっている
  • 椅子や机が合っていない
  • 明らかに無理な姿勢で作業している

こうしたことを見て、

「そのうち直そう」
「慣れれば大丈夫だろう」

と放置していないか。

法律上は、「予見できた危険を、どこまで減らそうとしていたか」が問われます。

何も対策していなければ、「気づいていたのに何もしなかった」と評価されかねません。

逆に言えば、

  • 声をかけていた
  • 改善しようとしていた
  • 記録や相談をしていた

この積み重ねが、会社を守ります。

🔶安衛は「何も起きていない今」が一番大事

安全衛生は、問題が起きたあとに整えようとすると、一気に難易度が上がります。

  • 感情が絡む
  • 記憶があいまいになる
  • 「あのとき何をしていたか」が問われる

だからこそ、何も起きていない今のうちに、最低ラインだけ整えることが重要です。

🔶創業期は「最低限+見直せる余地」を残す

最初から完璧な体制は必要ありません。

ただ、

  • 健康診断をどうするか
  • 働き方の基本ルール
  • 危険を感じたときの考え方

これだけでも整理しておくと、あとから会社が大きくなったときに、無理なく積み上げていくことができます

🔷まとめ

1人雇うということは、「仕事を頼む」だけでなく、人の健康と生活の一部を預かるということです。

安全衛生は、派手さはありません。

でも、後回しにした分だけ、あとで大きな負担になりやすい分野です。

「これ、うちはどこまでやればいいんだろう」
「正直、何が足りていないかわからない」

そう感じた時点で、それはもう立派なスタートラインです。

創業期こそ、“最低ライン”だけ、まずは整えておきましょう。

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