【就業規則コラム vol.22】就業規則に書いても「無効になりやすい規定」

― 法律に反するケースと、運用で問題になる例 ―

就業規則は、会社のルールブックです。

だからこそ、「ちゃんと就業規則に書いてあります」と言えれば安心……と思いがちなのですが、実は書いてあっても効力を持たない規定は、意外と多く存在します。

今回は、実務の現場でよく見る「これは無効になりやすいな」と感じる規定を、①法律に反するケース②運用で問題になるケースに分けて整理します。

🔶① 法律に反しているため、そもそも無効な規定

まずは分かりやすいところから。

就業規則は、法律より下のルールです。

そのため、法律に反する内容を書いても、その部分は最初から無効になります。

▼有給休暇を認めない規定

「当社には有給休暇はありません」
「繁忙期は有給休暇の取得を禁止する」


一番分かりやすい例ですが、これは完全にNGです。
年次有給休暇は法律で保障された権利なので、会社が就業規則で制限・排除することはできません。

▼残業代を支払わない前提の規定

「管理職には残業代は支給しない」
「固定残業代を払っているので超過分は出さない」


役職名や書き方に関係なく、実態として管理監督者に該当しなければ残業代は必要です。

「就業規則にそう書いてあるから」という理由は、労基署や裁判では通りません。

▼退職の自由を縛りすぎる規定

「退職は会社の承認がなければできない」
「退職する場合は半年以上前に申し出ること」


労働者の退職の自由は、民法で認められています。

過度な制限は無効になりやすく、トラブル時にはむしろ会社側が不利になります。

🔶②法律違反ではないが、「運用」で無効化される規定

ここからが、実務的に、より怖いポイントです。

法律上は問題なさそうに見えても、実際の運用とズレていると、その規定は使えなくなります

▼懲戒処分の規定があるのに、基準が曖昧

「会社の秩序を乱した場合、懲戒処分とする」

一見それっぽいですが、これだけだと何をしたら、どの処分になるのか分からない

その状態で重い処分をすると、

  • 処分が重すぎる
  • 基準が不明確
  • 社長の感情で決めたように見える

と判断され、無効とされるリスクが高くなります。

▼服務規律が現場で守られていない

「遅刻・早退は禁止する」
「副業は禁止する」


就業規則には書いてあるけれど、実際には黙認していた、注意していなかった。

この場合、「そのルールは事実上、使われていない」と判断される可能性があります。

いざ問題社員にだけ適用すると、「それ、今さら?」という話になってしまうわけです。

▼会社独自ルールが説明されていない

「〇〇の場合は減給とする」
「評価により賞与を減額することがある」


制度自体は置いているのに、

  • どういう基準なのか
  • 誰が決めるのか
  • どの程度影響するのか

が説明されていないケース。

この状態だと、恣意的な運用と見られやすく、紛争時に規定が機能しません。

🔶「書けば安心」ではなく、「使えるかどうか」

就業規則で一番もったいないのは、

・ちゃんと作っている
・内容もそれなりに整っている
・でも、いざというとき使えない

この状態です。

無効になりやすい規定に共通するのは、「法律を知らない」か「運用を想定していない」か、その両方です。

創業期や少人数の会社ほど、「まだ大丈夫」「揉めてから考えよう」と後回しにしがちですが、実際には揉めたあとでは直せない規定も多くあります。

就業規則は、トラブルを防ぐための道具であって、飾りではありません。

「この規定、実際に使えるかな?」
そんな視点で、一度見直してみることをおすすめします。

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