【就業規則コラム vol.25】有給休暇のルール、就業規則にどこまで書く?

― 法律で決まっていること/会社が決めていいこと ―
就業規則の相談を受けていると、こんなやり取りになることがあります。
「有給休暇って法律で決まっているんですよね?」
「だったら、就業規則にはあまり書かなくてもいいんじゃないですか?」
たしかに、有給休暇は労働基準法で細かくルールが決まっている制度です。
そのため、「法律どおりに運用すればいい」と思われることも少なくありません。
でも実際には、有給休暇こそ“就業規則の書き方”が会社の運用を左右する制度でもあります。
今回は、法律で決まっていることと会社が決めておいたほうがいいことを整理してみたいと思います。
🔷法律で決まっていること(会社は変えられない)
まず、有給休暇の基本ルールは法律で決められています。
例えば、次のような点です。
・入社から6か月継続勤務し、出勤率が8割以上なら付与される
・勤続年数に応じて付与日数が増える
・原則として労働者が請求した日に取得できる
・年5日の取得義務がある
・有給休暇の時効は2年
こうした制度の骨格部分は会社が自由に変えることはできません。
例えば、
「有給休暇は入社1年後から」
「繁忙期は有給休暇を認めない」
といったルールを就業規則に書いてしまうと、法律と矛盾する可能性があります。
そのため、就業規則ではまず、法律で決まっている制度の内容を正しく整理しておくことが必要になります。
🔷会社が決めておいたほうがいいこと(運用ルール)
一方で、有給休暇の制度には会社ごとに整理しておいたほうがよい運用ルールがあります。
例えば、次のような点です。
・有給休暇の申請方法
・いつまでに申請するのか
・誰に申請するのか
・半日単位の取得を認めるか
・時間単位年休を導入するか
・計画年休を実施するか
これらは法律が細かく決めているわけではありません。
そのため、就業規則で整理しておかないと、現場ではこんなことが起きがちです。
「前日に言われても困る」
「上司によって判断が違う」
「どこまで認めるべきなのか分からない」
つまり、有給休暇のトラブルの多くは、制度そのものではなく“運用ルールが曖昧なこと”から起きているケースが少なくありません。
🔷就業規則は「制度を現場で回すためのルール」
就業規則というと、「法律を書いておくもの」というイメージを持たれることがあります。
しかし本来の役割は、そこだけではありません。
制度を現場でスムーズに運用できる形に整理すること。
有給休暇もまさにその代表例です。
法律は制度の骨格を決めていますが、職場でどう回すかまでは決めてくれていません。
だからこそ、
・申請の手順
・運用の考え方
・会社としてのルール
を就業規則の中で整理しておくことが、結果的に会社と従業員の双方を守ることにつながります。
🔷まとめ
有給休暇のルールは、
法律で決まっている部分(制度の骨格)
会社が決める部分(運用ルール)
この2つで成り立っています。
就業規則では、法律の内容を書くだけでなく、
自社の実際の運用に合わせてルールを整理しておくことが大切です。
もし、
・就業規則に有休のことは書いてあるけれど、実際の運用と合っていない
・申請のルールが曖昧になっている
そんな場合は、一度見直してみるのも良いかもしれません。
有給休暇は、多くの会社で使われる制度だからこそ、ルールの整理が会社の働きやすさに直結する制度でもあります。
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