カスタマーハラスメント対策、進んでいますか?~厚労省の業種別支援ツールを活用しよう~
ここ最近、「カスハラ(カスタマーハラスメント)」という言葉を耳にする機会が増えてきたと感じませんか?
2024年4月には東京都で「カスタマーハラスメント防止条例」が施行され、国会でも企業に対策を義務づける法案が審議されるなど、全国的に注目が集まっています。
このような状況の中、厚生労働省では企業のカスハラ対策を後押しするため、さまざまな支援コンテンツを公開しています。
今回は、特に実務に役立つ内容をピックアップしてご紹介します。
「あかるい職場応援団」にカスハラ対策情報が集約
厚労省が運営する人事労務情報サイト「あかるい職場応援団」では、ハラスメントに関する包括的な情報を提供しています。
セクハラ・パワハラ・マタハラ等のほか、カスタマーハラスメントや就活ハラスメントといった新たな課題についても、具体的な対応策や企業事例を紹介しています。
業種別マニュアルや研修動画も公開中
特に注目したいのが、「業種別カスタマーハラスメント対策の取組支援」です。
2024年度はスーパーマーケット業界を対象にモデル事業が行われ、以下のツールが新たに公開されました。
業種別企業マニュアル(スーパーマーケット業編)
社内研修用動画
店舗掲示用の啓発ポスター
このマニュアルでは、実際の業界で起こりがちな事例をもとに、従業員を守るための方針や社内ルールの整備方法が紹介されています。
動画やポスターも無料でダウンロードできるため、自社研修や職場掲示にすぐ活用できます。
また、今後ほかの業界でも同様のマニュアル作成が進むよう、「策定手順例」も公開されています。
自社で独自の対策を講じたいと考えている企業にとって、非常に参考になる資料です。
カスハラ対策は「やっておいて損なし」
すでに一部企業では、来店客の目に留まる場所にポスターを掲示するなど、カスハラ対策の取組が始まっています。
従業員を守るための環境づくりは、結果的に企業の信頼性やサービス品質の向上にもつながります。
カスハラ対策を進めるにあたっては、社内のルールや指針を明文化することも大切です。
就業規則や服務規律の見直しによって、従業員の安心感や対応の一貫性が格段に高まります。
「どこまで規則に盛り込めばよいのか?」「従業員への周知はどうすれば?」といった点に不安がある場合は、専門家のサポートを活用するのもひとつの方法です。
【関連リンク】
「カスタマーハラスメントを知っていますか?」(あかるい職場応援団)
「業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル (スーパーマーケット業編)等を作成しました。」(厚生労働省)
横山社会保険労務士事務所からひとこと
どの企業も「お客様との関係性」を大切にしたいという思いは共通ですが、それは同時に「働く人を守る姿勢」とセットであってこそ、持続可能な組織づくりにつながります。
制度やツールを上手に活用しながら、自社らしいカスハラ対策を少しずつ整えていきましょう。
その第一歩として、就業規則の見直しや社内のルール作りから始めてみてはいかがでしょうか。
横山社会保険労務士事務所では、企業ごとの実情に寄り添ったご提案を心がけています。
「まずは相談だけでも」という方も歓迎です。お気軽にご連絡ください。