あなたの職場は大丈夫?休憩時間の意外なルール

今回は、普段あまり意識することのない「休憩時間」についてお話ししたいと思います。

「休憩時間はうちの会社はちゃんと取らせているから大丈夫!」そう思われている社長さんもいらっしゃるかもしれません。

しかし、実は休憩時間には意外と知られていないルールがいくつか存在します。

休憩時間の基本的なルールをおさらい!

まず、労働基準法で定められている休憩時間の基本ルールを確認しましょう。

  • 労働時間が6時間を超える場合は45分以上
  • 労働時間が8時間を超える場合は1時間以上

これらの休憩時間を、労働時間の途中に与えなければならないとされています。

例えば、9時から18時まで(実労働8時間)の勤務の場合、途中で45分以上の休憩が必要です。

「休憩時間は自由」ってどういうこと?

休憩時間の「自由利用の原則」という言葉を聞いたことはありますか?

これは、休憩時間中に従業員が仕事から完全に解放され、自由に過ごせることを意味します。

「自由に過ごせるって言われても、結局会社にいるんだし…」と思われるかもしれませんが、例えば、以下のようなケースは自由利用の原則に反する可能性があります。

  • 休憩中に電話番や来客対応を命じる
  • 休憩中にミーティングへの参加を義務付ける
  • 休憩中に持ち場を離れることを制限する(特別な理由なく)

もし休憩時間中にこのような業務が発生しているのであれば、それは労働時間とみなされ、別途賃金の支払いが必要になる場合があります。

意外と知らない!?こんな時どうする?休憩時間のギモン

中小企業の社長様からよくご質問いただく、休憩時間に関する「意外と知らないポイント」をいくつかご紹介します。

Q1. 休憩時間を分割して与えてもいいの?

A. はい、可能です。 (が、望ましくないかも…)

例えば、1時間の休憩を「40分と20分」のように分割して与えることは問題ありません。

ただし、短すぎる休憩時間(例:5分休憩を12回)は、実質的に休憩とみなされない可能性があるため注意が必要です。

従業員が心身を休めるのに十分な時間であることが重要なので、やはりまとめて(1時間休憩なら、1時間連続して与える)休憩時間にしたほうがいいでしょう。

Q2. 一斉に休憩を取らせる必要はあるの?

A. 基本的には一斉付与が原則ですが、業種によっては例外もあります。

労働基準法では、休憩時間は「一斉に与えなければならない」とされています。

しかし、運送業やサービス業など、業務の性質上一斉に休憩を取ることが難しい業種については、労使協定を締結することで一斉付与の原則の例外を設けることができます。

Q3. 従業員が休憩時間中に会社で怪我をしたら、労災になるの?

A. ケースによります。

休憩時間は原則として労働時間ではないため、休憩中の怪我が直ちに労災と認定されるわけではありません。
ただし、会社の施設内で発生した場合や、会社の管理下にあると判断される状況であれば、労災と認められる可能性もあります。

例えば、食堂での転倒や、休憩室で地震により負傷した場合などが該当する可能性があります。
個別の状況によって判断が分かれるため、万が一の際は専門家にご相談ください。

Q4. 休憩時間を取らずに働きたいと従業員が言ってきたら?

A. 原則として認められません。

労働基準法で定められた休憩時間は、従業員の健康と安全を守るために義務付けられています。

たとえ従業員が「休憩はいらないから早く帰りたい」と希望しても、会社は法定の休憩時間を与えなければなりません


これは、会社の義務であり、守らない場合は法律違反となります。
従業員の意向を尊重したい気持ちもわかりますが、ここは毅然とした対応が必要です。

Q5. パソコンを使った作業中に目を休める時間も休憩時間になる?

A. いいえ、原則として休憩時間にはなりません。

これは「作業中断時間」や「小休憩」と呼ばれるもので、労働基準法上の休憩時間とは区別されます。

例えば、ディスプレイ作業の合間に設けられる「VDT作業における休憩」は、あくまで作業効率や健康維持のためのものであり、従業員が自由に過ごせる「休憩時間」とは異なります。

もし、このような小休憩を休憩時間としてカウントしている場合は、法的な休憩時間を別途確保する必要がありますのでご注意ください。

休憩時間をしっかり取るメリットとは?

「休憩時間なんて業務が滞るだけだ!」と考えている社長さんもいらっしゃるかもしれません。(いや、いないですよね…)
しかし、従業員が適切な休憩を取ることは、企業にとっても想像以上のメリットがあるんです。

生産性の向上

長時間集中し続けるのは、どんなに優秀な人でも難しいものです。

短時間でも意識的に脳を休めることで、集中力がリセットされ、午後の仕事や次の業務へのパフォーマンスが格段に向上します。

結果的に、ダラダラと長時間働くよりも、休憩を挟んだ方が質の高い仕事ができる、というデータもあるほどです。

従業員の健康維持と離職率の低下

休憩は、心身の疲れを癒やす大切な時間です。
体を動かしたり、リラックスしたりすることで、ストレスを軽減し、メンタルヘルス不調のリスクを減らします。

健康で活力のある従業員は、長期的に会社に貢献してくれますし、体調を崩して休職したり、退職したりするリスクも減ります。
「あの会社はちゃんと休憩を取らせてくれるから、働きやすい」という評判は、優秀な人材の確保にもつながりますよ。

モチベーションアップとエンゲージメントの向上

休憩時間がしっかりとれる環境は、「会社が自分のことを大切にしてくれている」という従業員の安心感と満足度を高めます。

これが、会社への信頼感や貢献意欲、つまり「エンゲージメント」の向上に直結します。

従業員が「この会社のために頑張りたい」と思ってくれるようになるんです。

法令遵守による信頼性の向上

労働基準法を遵守することは、企業として当然の責務です。

休憩時間のルールをきちんと守ることは、法的なトラブルを未然に防ぐだけでなく、社会からの企業の信頼性を高めることにもつながります。

まとめ:今一度、貴社の休憩時間を見直してみませんか?

休憩時間は、単に時間を潰す時間ではありません。
従業員が心身をリフレッシュし、次の業務に集中するための大切な時間です。

「うちの会社は大丈夫」と思っていても、知らず知らずのうちに法律に抵触しているケースや、従業員の満足度を低下させているケースもあるかもしれません。
今一度、貴社の休憩時間の運用状況を見直してみてはいかがでしょうか?

もし「うちの休憩時間、これで大丈夫かな?」と少しでも不安に感じられたら、お気軽にご相談ください。
貴社の状況に合わせたアドバイスをさせていただきます。

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