「試用期間だから辞めさせられる」は本当?〜制度と向き合い、人を見極めるには〜

「人手が足りないから、早く戦力になってくれる人がほしい」
「でも、入れてみたらなんだかちょっと違う…」
そんなふうに、試用期間中に“このまま続けてもらうべきか”悩んだことはありませんか?

経営者や採用担当者にとって、試用期間は“人材との相性を見極める大事な時間”
とはいえ、「合わないと思ったら切れる」という単純な話ではないのが現実です。

実は、試用期間中のトラブルは年々増えています。
「まだ本採用じゃないから大丈夫」
そんな思い込みが、企業にとって大きなリスクになるケースも――。

では、試用期間とは、法律的にどんな位置づけなのでしょうか?

「お試し」とはいえ、そこには明確なルールと注意点があります。
まずは、その基本から確認していきましょう。

■ 試用期間中でも、労働契約は成立している

「試用期間だから本採用前の仮の状態」と思われがちですが、法律的にはこの期間も立派な“雇用関係”です。

つまり、会社都合で一方的に辞めさせるには、正当な理由が必要です。
裁判になった場合も、「客観的に合理的な理由があるか」「社会通念上相当か」が問われます。

特に注意したいのは、次のようなケースです。

「期待したレベルに達していない」という、抽象的・主観的な理由だけでの終了
本人へのフィードバックや改善の機会がなかった
業務内容や評価基準が曖昧なまま、いきなり不採用を告げた

このような運用は、“不当解雇”と判断される可能性が高くなります。

■ トラブルを防ぐために整えておきたい3つのこと

試用期間の「見極め」を適切に行うためには、事前の備えが大切です。
以下の3つは最低限、準備しておくことをおすすめします。

評価基準を明確にしておく
→ 業務の習熟度、勤務態度、協調性など、具体的な基準を設定。
 「何ができていれば合格なのか」を、採用前の段階で共有しておきましょう。

指導・面談の記録を残す
→ 「どんな点に注意を促したか」「本人の反応」などを記録に残しておくことで、
 会社側の誠実な対応を証明できます。

就業規則・労働契約書に記載しておく
→ 試用期間の長さや取り扱いを明記することで、トラブル時の判断基準になります。

■ 試用期間は「辞めさせるため」ではなく、「育てるチャンス」

試用期間を通じて、確かに会社は“見極め”を行います。
でもそれは、ただ「合わなければ切る」ための期間ではありません。

本来は、
「うちの会社でしっかり活躍してもらえる人材に育てられるか」
という視点で運用すべきものです。

「思っていたのと違うな…」と感じたときに、すぐに見切りをつけてしまうのは簡単です。

でも、少し視点を変えて、
「どうしたらこの人に合う働き方ができるか」
「期待していることをちゃんと伝えられているか」
と立ち止まって向き合った会社では、試用期間中に本人がぐっと変わって戦力になったというケースも実際にあります。

もし、明確な基準と定期的な面談があれば、別の結果になっていた——。
そんなふうに感じることも、現場では少なくありません。

■ 最後に

試用期間は、会社と人材がお互いに理解を深める大切な時間です。

「どう見極めるか」だけでなく、
「どう向き合うか」「どう信頼を築くか」を意識することが、結果としてトラブルを避け、採用の成功につながります。

“人と向き合う制度づくり”を、あなたの会社にも。
その第一歩として、試用期間の見直しから始めてみませんか。

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